認知症の親が知らない人を家に入れてしまうときの防犯対策

インターホンが鳴ると確かめもせず玄関に出てしまう。見覚えのない営業の人が家の中にいた。離れて暮らす親のそんな姿に、不安を覚えた方もいるのではないでしょうか。

認知症のある高齢者をねらった訪問販売や強引な勧誘、詐欺まがいのトラブルは少なくありません。警戒心が弱くなったり、相手の話をそのまま信じてしまったりすることで、被害につながりやすくなるためです。

この記事では、認知症のある方が見知らぬ人を家に入れてしまう背景と、家族が取り入れられる防犯の工夫について整理します。

なぜ認知症があると警戒心が弱くなるのか

認知症になると、記憶力だけでなく、相手が怪しいかどうかを見極めたり、はっきりと断ったりする判断力にも変化が出ることがあります。昔の感覚のまま人を信じやすかったり、その場の雰囲気に合わせてしまったりすることもあります。

育ってきた時代の影響で、他人を疑うことを礼儀に反すると感じる方も少なくありません。そのため、悪意のある相手にさえ丁寧に接してしまうことがあります。本人に落ち度があるというより、認知機能の変化によって起きやすくなっている面が大きいといえます。

実際に起こりやすいトラブル

高齢者の家庭では、次のようなトラブルが起こりやすいといわれています。

  • 必要のないリフォーム契約
  • 高額な商品の購入
  • 点検商法や押し買い
  • 詐欺まがいの電話への対応
  • 見知らぬ人を家に上げてしまうこと

本人が契約したことを覚えていないこともあり、家族が気づいた時点で、すでに何度も相手が訪ねてきていたという例もあります。

家庭でできる防犯の工夫

すぐに玄関を開けない環境をつくる

本人の注意力だけに頼らず、環境そのものを整えることが大切です。モニター付きインターホンや録画機能のあるドアホン、補助鍵、チェーンロックなどを取り入れると、とっさにドアを開けてしまうことを防ぎやすくなります。迷惑電話への対策機能がついた電話機を利用する家庭も増えています。

穏やかに繰り返し伝える

一度説明しても忘れてしまうことがあるため、玄関や電話のそばに短い言葉で注意書きを貼っておくなど、思い出しやすい工夫が役立つ場合があります。強く叱ると不安や混乱を招くことがあるため、落ち着いた声かけを心がけましょう。

地域や専門職とつながっておく

一人暮らしの場合は、民生委員や地域包括支援センター、ケアマネジャー、近隣の方との日頃のつながりが、異変に気づくきっかけになることがあります。普段から連絡を取り合える関係を作っておくと安心です。

見守りの手段を取り入れる

離れて暮らす家族にとっては、見守りカメラやセンサー機器、安否確認サービスなども選択肢になります。状況によっては、介護サービスや高齢者向けの住まいを利用し、日中や夜間に見守りのある環境へ移ることも一つの方法です。認知症の方を多く受け入れてきた施設の中には、出入りの管理など防犯に気を配っているところもあります。

本人を責めずに環境を見直す視点を持つ

被害に遭うと家族もショックを受け、つい「なぜ開けたのか」「どうして信じたのか」と問い詰めたくなるかもしれません。しかし、判断力の変化によって起きていることが多いため、本人を責めても根本的な解決にはなりにくく、強い不安や混乱を招いてしまうこともあります。環境を整えること、周囲で支えること、一人きりの時間を減らすことという視点を大切にしましょう。

まとめ

認知症の方が見知らぬ人を家に入れてしまう背景には、判断力の低下や警戒心の変化、孤独感など、いくつもの要因が重なっています。本人の落ち度と捉えるのではなく、玄関まわりの備え、地域とのつながり、見守りの手段を組み合わせて、安心して暮らせる環境を整えていくことが、トラブルを防ぐ力になります。