寝たきりの親の気持ちとは|家族ができる接し方と心がけ
身の回りのことに介助が必要になった親を前にして、「本当はどう感じているのだろう」「つらさを隠していないだろうか」と、ふと考え込んでしまうことがあるかもしれません。
体の自由がきかなくなると、毎日の生活だけでなく、心の動きにもさまざまな影響が出るといわれます。
ここでは、寝たきりの状態にある方が抱きやすい思いや、その気持ちに寄り添うための接し方、家族の負担を軽くする視点を順番にまとめます。
気持ちは人それぞれ、決めつけないことから
寝たきりに至る経緯は、病気、けが、年齢を重ねたことによる衰えなど、人によって違います。そのため、心の内も一律ではありません。
状況をどう受け止めているかは、その人の性格や、これまでの暮らし、周囲との関係によっても変わります。まずは「こう感じているはず」と決めつけず、本人の様子を丁寧に見守ることが出発点になります。
本人の心に浮かびやすい思い
寝たきりの方が抱くことがある気持ちとして、次のようなものが挙げられます。
- 体が思うように動かないもどかしさやつらさ
- 周りの人の手を煩わせていることへの申し訳なさ
- この先の暮らしがどうなるのかという心配
- できていたことができなくなった寂しさ
- 会話や外出の機会が減ることで生まれる孤独感
その一方で、家族が近くにいることで落ち着ける、いまの暮らしの中にも楽しみがある、と話す方もいらっしゃいます。寝たきりであることと、毎日がつらいことは、イコールではありません。
日々の関わりで大切にしたいこと
いつもの調子で話しかける
介助が増えると、つい「支える人」と「支えられる人」という構図になりがちです。それでも、本人にとって家族との会話は、いまも大切な心の交流です。
天気や食事の話など、ありふれた話題で十分です。相手の意向を確かめながら、ふだんどおりの会話を続けましょう。
選ぶ場面を残しておく
家族がなんでも先に済ませてしまうと、本人が自分で決める機会が減ってしまいます。
着たい服や飲みたいものなど、小さな選択でも本人に委ねることが、自分らしさを保つ支えになります。
手のぬくもりや声で安心を伝える
そっと手に触れる、視線を合わせる、呼びかけるといった関わりは、安心感につながることがあります。反応が返ってこないときも、様子を見ながら声をかけ続けてみましょう。
介護する家族が抱え込まないために
寝たきりの方の介護では、体力面でも気持ちの面でも、家族に大きな負担がかかりがちです。「自分がしっかりしなければ」と思い詰めると、心身の余裕がなくなってしまいます。
介護保険のサービスや、高齢者向けの住まいなど、頼れる手段はいくつもあります。まずは担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口に、気軽に相談してみてください。
介護が重くなってきたときに、施設への入居を考えるのは自然なことです。本人の状態、医療や介護の必要度、家族の状況を合わせて、無理のない形を探しましょう。
よくある疑問
反応が少ないと、理解できていないのでしょうか
言葉や表情での返事が少なくても、受け止めていないと決めつけることはできません。状態は人によって大きく異なります。本人の様子を確かめつつ、これまでと同じように話しかけることが大切です。
施設の利用を考えるのは気が引けますが、良いのでしょうか
検討して構いません。要介護の方が暮らせる施設も各地にあります。ご本人の容体と家族の事情を見比べ、無理のない選択をしていきましょう。
まとめ:その人らしい毎日を支える
寝たきりになると、できないことが増えていきます。ただ、本人の思いや楽しみまでが消えてしまうわけではありません。
家族との語らい、好きな音楽、食事のひととき、季節の移ろいを感じる時間など、いまだからこそ味わえる楽しみを大切にすることが、落ち着いた暮らしにつながります。健康や介護の状況には個人差があるため、具体的な対応は、かかりつけ医やケアマネジャーなどの専門職にも相談しながら進めてください。