年齢による物忘れと認知症はどう違う?家族が見ておきたいサイン

電話で話していて同じ話を繰り返されたり、約束をすっかり忘れていたりすると、「年のせいかな」と思う一方で「もしかして」と不安がよぎることがあります。高齢の親を持つ方にとって、物忘れの受け止め方は悩ましいテーマです。

年齢を重ねれば誰でも物忘れは増えていきます。一方で、認知症による記憶や判断力の変化は、単なる物忘れとは少し違った形で現れることがあります。見分け方を知っておくことで、必要以上に不安になったり、逆に変化を見逃したりすることを防ぎやすくなります。

この記事では、年齢による物忘れと認知症の違いをどう見ればよいか、家族が注目したい変化のポイント、気になったときの相談先について整理します。

物忘れと認知症、どこに注目すればよいか

「忘れる」という現象だけを見ても、年齢によるものか認知症によるものかを判断するのは簡単ではありません。注目したいのは、忘れ方のくせと、それが日々の暮らしにどう影響しているかという点です。

年齢による物忘れの傾向 認知症で見られることがある傾向
出来事の細部を忘れる 出来事があったこと自体を覚えていないことがある
きっかけがあれば思い出せることが多い 思い出すきっかけがあっても気づきにくいことがある
日常生活への影響は小さいことが多い 家事や金銭管理など生活の場面に影響が出ることがある
段取りを立てる力は比較的保たれる 段取りや判断に戸惑う場面が増えることがある

これはあくまで一般的な目安であり、この表だけで認知症かどうかを判断できるものではありません。気になる場合は、専門職に相談しながら様子を見ていくことが大切です。

認知症で現れることがある変化

認知症というと記憶の問題が注目されがちですが、実際には記憶以外の力にも変化が及ぶことがあります。

考える力や段取りにまつわる変化

同じ質問を繰り返す、通い慣れた道で迷う、これまでできていた料理や買い物の手順が難しくなる、といった変化が見られることがあります。財布や鍵など身の回りの物を探すことが増える場合もあります。

気持ちや振る舞いにまつわる変化

以前と比べて怒りっぽくなった、何に対しても意欲がわきにくくなった、身だしなみへの関心が薄れたなど、性格や行動の面に変化が現れることもあります。家族から見ると「人が変わったようだ」と感じられることも少なくありません。

こうした変化がいくつも重なっている、あるいは生活への支障が目立つと感じたときは、家族だけで判断しようとせず、専門職に相談する目安と考えてよいでしょう。

気になる様子があるときの相談先

日々のちょっとした違和感を、どこに相談すればよいか迷う方は多いものです。まずはかかりつけ医に相談するか、各市区町村に設置されている地域包括支援センターに連絡してみるとよいでしょう。症状によっては、物忘れを専門に扱う外来や、脳や神経を診る診療科への紹介を受けられることもあります。

受診や相談は、診断名をつけるためだけのものではありません。今後どのように暮らしを支えていくかを考えるための、最初の一歩と捉えるとよいでしょう。

暮らしの支えが難しくなったら高齢者施設も選択肢に

変化が見られたからといって、すぐに高齢者施設への入居が必要になるわけではありません。ただ、一人での暮らしに不安が出てきた、夜間の見守りが欠かせなくなった、薬や金銭の管理が難しくなったなど、家族の力だけでは支えきれない場面が増えてきたときは、老人ホームなどの高齢者施設へ住まいを移すことも、候補に加えてよいでしょう。

施設によって、認知症のある方への対応体制には違いがあります。見学や問い合わせの際には、どのような症状までなら対応できるのか、日々のケアの様子を具体的に確認しておくと安心です。

まとめ:忘れ方と暮らしへの影響を手がかりに

年齢による物忘れと認知症による変化には重なる部分もあり、見分けは簡単ではありません。「忘れることが増えた」という一点だけでなく、忘れ方のくせや、暮らしへの影響、気持ちや行動の変化もあわせて見ていくことが大切です。

「いつもと違う」と感じたら、一人で抱え込まないでください。主治医や、地域の相談窓口である地域包括支援センターに話してみましょう。必要に応じて、高齢者施設という選択肢も視野に入れながら、親にとって無理のない暮らし方を考えていくことができます。