もの忘れが気になる親「認知症のグレーゾーン」かもしれないとき
「前より物忘れが増えた気がするけれど、認知症というほどでもなさそう」。そんな親の様子に、どう向き合えばよいか迷う方もいるのではないでしょうか。
認知症と、加齢による普通のもの忘れの間には、「軽度認知障害」と呼ばれる段階があります。日常の会話では「認知症のグレーゾーン」と表現されることもあります。
この記事では、この段階で見られやすい変化と、認知症との違い、そして今からできる生活習慣の工夫について整理します。
「認知症のグレーゾーン」とはどんな状態か
この段階では、まだ認知症とは診断されず、日常生活はほぼ自分で送ることができます。ただし、物忘れの増加や注意力の低下といった変化がみられ、この先、認知症に移行することもありうる状態だと考えられています。本人や周囲が変化に気づきやすいという点も特徴の一つです。
日常生活で見られやすい変化
もの忘れが増えるが、自分でも気づいている
最近の出来事や会話の内容を忘れやすくなりますが、「あれ、忘れてしまったな」と自覚できることが多く、ヒントがあれば思い出せることもあります。認知症が進むと、こうした物忘れそのものへの自覚が乏しくなっていく傾向があるといわれています。
段取りやマルチタスクが少し苦手になる
料理の手順を一瞬忘れても、思い出せば続けられる、仕事や家事の段取りがやや滞る、二つのことを同時に進めるのが難しくなる、といった変化が見られることがあります。認知症が進行すると、作業そのものが難しくなったり、使い慣れた家電の操作に戸惑ったりすることが増えるとされています。
ぼんやりする時間が増える
以前より集中力が続きにくくなったと感じたり、「さっき何をしようとしたのか」を考える場面が増えたりすることがあります。本や新聞を読んでいても内容が頭に入りにくいこともあります。認知症が進むと、読んだこと自体を忘れたり、読書への関心が薄れたりすることが多いといわれています。
判断にわずかな迷いが出る
気温に合わない服装で出かけてしまう、お釣りの間違いに気づくのが遅れる、財布や鍵の置き場所がなかなか思い出せない、といった場面が増えることがあります。認知症がさらに進むと、お金の管理が難しくなったり、詐欺などの被害に遭いやすくなったりする場合があるとされています。
グレーゾーンから認知症に進むとは限らない
軽度認知障害の状態にある人のうち、一定の割合の方が時間の経過とともに認知症に進むといわれています。一方で、生活習慣を見直すことで、進行が緩やかになったり、状態が落ち着いたりする場合もあるとされています。気になる変化がある場合は、早めにかかりつけ医や専門の医療機関に相談することをおすすめします。
今からできる生活習慣の工夫
この段階は、生活習慣を見直すことで変化が期待できる可能性があるとされています。無理のない範囲で、次のような工夫を取り入れてみましょう。
- 新しいことに挑戦する(楽器、習い事、旅行など)
- 人と話す機会を増やす(友人との交流、電話、家族との会話)
- 計算や文字のパズルなどで頭を使う時間をつくる
- ウォーキングや軽い筋トレなど、体を動かす習慣を持つ
- 魚や野菜、大豆製品を意識してとり、塩分や糖分は控えめにする
- 十分な睡眠時間を確保し、就寝前のスマートフォンの使用を控える
- 趣味の時間やリラックスできる方法を持ち、気負いすぎない
体調や持病によって適した運動量や食事の内容は異なります。不安な点があれば、かかりつけ医に相談しながら進めるとよいでしょう。
まとめ 変化に気づいたら、まず相談を
「認知症のグレーゾーン」と呼ばれる軽度認知障害は、加齢によるもの忘れより少し進んでいるものの、認知症ではない段階です。日常生活への支障は小さくても、将来への変化が気になる場合は、生活習慣を見直すとともに、かかりつけ医や地域の相談窓口に早めに相談しておくと安心です。