ケアマネジャーとの付き合い方と選び方|家族が押さえたいポイント
介護保険のサービスを使い始めると、ほぼ必ず関わることになるのがケアマネジャー(介護支援専門員)です。どんなサービスをどのくらい使うかを一緒に考え、事業所との連絡や調整まで担ってくれる、在宅介護の「まとめ役」ともいえる存在です。
その一方で、「どうやって選べばいいのかわからない」「忙しそうで声をかけづらい」「こちらの希望をどこまで言っていいのか迷う」と感じているご家族も少なくありません。ケアマネジャーとのお付き合いは一度きりではなく、介護が続くかぎり長く続いていくものです。
この記事では、ケアマネジャーを選ぶときに見ておきたい視点と、信頼関係を育てていくために家族ができる工夫を、順を追ってご紹介します。
ケアマネジャーはどんな役割を担う人?
ケアマネジャーは、介護が必要な方の心身の状態や暮らしぶり、家族の事情をふまえて、介護サービスの計画書であるケアプランを作る専門職です。訪問介護やデイサービス、福祉用具のレンタルなど、いくつものサービスを組み合わせ、それぞれの事業所とのやり取りも引き受けます。
在宅で要介護の認定を受けた方は、一般に居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーと契約します。要支援の場合は、地域包括支援センターが中心になって支援を担うのが基本です。どこに声をかければよいか見当がつかないときは、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターで、近くの事業所の情報を教えてもらうとよいでしょう。
ケアマネジャーになるには資格の取得と所定の研修が必要ですが、得意な分野や経験の幅、人柄は一人ひとり違います。だからこそ「誰にお願いするか」が、介護生活の過ごしやすさを左右します。
ケアマネジャー選びで見ておきたい5つの視点
話しやすく、言葉がわかりやすいか
介護保険の仕組みやサービスの名前には、ふだん耳にしない専門用語がたくさん出てきます。家族が尋ねたときに、かみくだいて答えてくれるかどうかは大切なポイントです。最初の面談では「この人には気軽に質問できそうか」を意識してみてください。
本人と家族の思いを聞こうとしてくれるか
本人に合ったケアプランは、本人がどう暮らしたいか、家族がどこまで支えられるかを知るところから始まります。サービスの提案を急ぐより先に、本人の気持ちや生活のこだわりにじっくり耳を傾けてくれるかを見ておきましょう。本人が話しにくそうなときに、ていねいに言葉を引き出してくれる姿勢も信頼の目安になります。
困ったときに動いてくれるか
介護では、急な体調の変化や退院、家族の都合の変化など、予定外の出来事がつきものです。連絡したときの折り返しの早さや、思いがけない相談にも一緒に対応策を考えてくれるかどうかは、日々のやり取りのなかで見えてきます。
ケアプランが「今の暮らし」に合っているか
作られたケアプランが、本人の状態や生活のリズムに合っているかも確かめたい点です。状態が変わったときに見直しを提案してくれるかどうかも重要です。一度決めたサービスをそのまま続けるのではなく、必要に応じて組み替えてくれるケアマネジャーは心強い存在です。
経験や周囲の評判も参考にする
経験の長さや、これまでに担当してきた方の傾向も判断材料のひとつです。実際にサービスを利用している知人やご近所の話、信頼できる人からの紹介も参考になります。ただし評判はあくまで目安なので、最後は実際に会って話した印象を大切にしてください。
よい関係を育てるために家族ができること
ケアマネジャーとの関係は、選んだら終わりではありません。家族の関わり方によって、受けられる支援の中身も変わってきます。
本人の様子を具体的に伝える
ケアマネジャーが本人に会えるのは、定期的な訪問などの限られた時間です。ふだんの食事の量や眠り方、通院の様子、気になる変化などは、家族からの情報がとても役に立ちます。「なんとなく元気がない」よりも「夕方になると落ち着かなくなる」のように、具体的な場面で伝えるとプランに反映されやすくなります。
希望や困りごとは遠慮せず言葉にする
「こんなことを言ったら迷惑かもしれない」と遠慮してしまう家族は少なくありません。しかし、困っていることや「こうしてほしい」という希望は、口に出さなければ伝わりません。疑問や不安はため込まず、その都度相談するほうが、結果的にお互いの負担も軽くなります。
サービスを使ってみた感想を伝える
利用しているサービスについて、「本人が楽しみにしている」「この時間帯は合わないようだ」といった感想を伝えることも大切です。よかった点もそうでない点も共有すれば、ケアマネジャーは事業所と調整しやすくなり、本人に合った支援に近づいていきます。
連絡の方法と家族側の窓口を決めておく
電話がつながりやすい時間帯や、メールなどで連絡してよいかどうかを最初に確かめておくと、いざというときに慌てずにすみます。兄弟姉妹など複数の家族が関わっている場合は、やり取りを担当する人を決め、聞いた内容を家族の間で共有しましょう。家族の意見がばらばらに届くと、ケアマネジャーも判断に迷ってしまいます。
ほかの専門職とのつながりも意識する
訪問看護師やデイサービスの職員、かかりつけ医など、介護には多くの人が関わります。ケアマネジャーはその連携の中心にいますが、家族も気づいたことをそれぞれに伝えることで、チーム全体で本人を支える体制が整っていきます。
どうしても合わないと感じたときは
話し合いを重ねても、どうしても意思の疎通がうまくいかないことはあります。そのような場合、ケアマネジャーを替えることもできます。同じ事業所のなかで担当者を交代してもらう方法と、別の事業所と契約し直す方法があります。
本人や担当者に言い出しにくいときは、地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口に相談してみるのもひとつの方法です。本人がよりよい支援を受けるための選択として、前向きに考えてかまいません。
まとめ:ケアマネジャーは介護を一緒に進めるパートナー
ケアマネジャーを選ぶときは、資格や経験だけでなく、話しやすさや説明のわかりやすさ、本人の思いを大事にしてくれるか、状況の変化に合わせて動いてくれるかといった点に目を向けてみてください。
よい関係を築くには、家族の側からも本人の様子や希望を具体的に伝え、気になることを早めに相談する姿勢が欠かせません。ケアマネジャーを「お任せする相手」ではなく「一緒に考えるパートナー」ととらえることが、本人も家族も無理なく過ごせる介護につながっていきます。