老人ホームに入居するまでの流れを順番に解説

親のために老人ホームを探すことになったものの、何から手を付ければよいのか分からない。そんなふうに立ち止まってしまう方は多いものです。

手続きは一見ややこしく見えますが、順番に一つずつ進めていけば、決して難しいものではありません。全体の流れを先に知っておくだけで、焦りが和らぎ、ご本人も交えて落ち着いて比べることができます。

ここでは、最初の相談から新生活の始まりまでを九つの段階に分けて、それぞれで何をするかをご紹介します。

入居までの大まかな道のり

  1. 相談する
  2. 希望を整理する
  3. 資料を取り寄せる
  4. 見学する
  5. 体験入居をする(実施している施設のみ)
  6. 入居を申し込む
  7. 面談と入居の判定を受ける
  8. 契約と書類の提出
  9. 引っ越しと新生活の開始

かかる期間は施設の状況によって変わりますが、数週間ほどが一つの目安です。退院の時期が迫っているなど急ぐ事情があれば、もっと短く進むこともありますし、空きが出るまで待つ場合もあります。

第一段階 まずは身近な窓口へ相談する

入居を決めていなくても、相談はできます。「この介護度で入れるのか」「認知症があっても大丈夫か」「予算内で探せるのか」といった漠然とした疑問で構いません。

相談先としては、担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口が身近です。伝える内容が具体的なほど、状況に合った情報を得やすくなります。

  • 年齢
  • 要介護認定の有無と介護度
  • 認知症の有無
  • 持病や必要な医療処置
  • 希望する地域
  • 毎月の予算
  • 入居したい時期

第二段階 優先したいことを家族で決める

すべての希望を満たす施設は、なかなか見つかりません。そこで、「これだけは譲れない」ことと「できれば叶えたい」ことを分けておくと、迷いが減ります。

  • 予算(月々の費用と一時金)
  • 場所
  • 夜間も含めた介護や看護の体制
  • 認知症への対応
  • リハビリの内容
  • 医療処置への対応
  • 面会のしやすさ
  • 食事や日中の活動

決めるのは家族だけではありません。ご本人の気持ちもできる限り取り入れることが、入居後の納得感につながります。

第三段階 資料を集めて見比べる

条件がまとまってきたら、気になる施設の資料を取り寄せます。写真のほか、料金、サービス内容、医療や介護の体制などが載っています。

ただし、紙面からは雰囲気や職員の対応までは読み取れません。資料はあくまで見学へ進むための第一歩と捉えましょう。複数の施設を表にまとめると、違いが見えやすくなります。

第四段階 実際に足を運んで見学する

見学では、資料では分からない空気感を確かめられます。可能であればご本人も一緒に訪れると、暮らしぶりを思い描きやすくなります。

  • 職員の挨拶や言葉づかい
  • 館内の清潔さ
  • 入居者の表情や雰囲気
  • 食事の内容と食堂の様子
  • リハビリや活動の様子
  • 居室の日当たりや広さ
  • におい、騒がしさ

後悔を避けるためにも、一か所だけで決めず、複数の施設を見て比べることをおすすめします。

第五段階 体験入居で暮らしを試す

施設によっては、短期間の宿泊を伴う体験入居ができます。食事が口に合うか、夜の過ごしやすさ、職員に声をかけやすいか、生活の流れが合うかなどを確かめられます。入居に不安を抱くご本人にとって、安心材料になることもあります。実施していない施設もあるため、事前に確認してください。

第六段階から第八段階 申し込み、面談、契約

申し込み

入居したい施設が決まったら申し込みをします。申し込みの時点で、すぐに契約が成立するわけではありません。この後に健康状態の確認や面談を経て、正式な契約に進むのが通例です。必要な書類は施設によって異なりますが、次のようなものが求められることがあります。

  • 介護保険の被保険者証
  • 健康保険証
  • 主治医からの診療情報の書類
  • 服用中の薬の情報
  • 健康診断書(施設による)
  • ご本人とご家族の身分を示すもの

面談と判定

面談は、合否を決める試験のようなものではありません。施設が安心して受け入れられるかを確かめつつ、ご本人の生活歴や困りごと、家族の希望を共有する場です。健康状態、介護が必要な場面、服薬、食事や排泄、入浴の状況などを正確に伝えましょう。

契約と準備

契約書や重要事項説明書には、費用、サービス、退去の条件などが書かれています。分からない箇所は遠慮なく質問し、納得してから署名してください。あわせて、持ち物の準備も進めます。

  • 普段着や下着
  • 室内履き
  • 洗面用具
  • 常備薬
  • 眼鏡、補聴器、入れ歯など
  • 使い慣れた日用品
  • 写真や愛用品

見慣れたものを身近に置くと、新しい環境になじみやすくなります。

第九段階 新しい暮らしの始まり

入居当日は、生活についての説明を受けて新生活がスタートします。最初のうちは緊張する方もいますが、慣れるまで見守ってもらえる施設が多いようです。ご家族も折を見て顔を出し、様子を気にかけてあげてください。老人ホームは生活の場です。施設と家族が協力して支えていく気持ちが大切です。

まとめ 焦らず一歩ずつ、納得できる住まいを

入居までにはいくつかの段階がありますが、順番に進めれば難しくはありません。大切なのは、急いで決めず、複数の施設を比べ、ご本人とご家族が納得できる場所を選ぶことです。早めに情報を集め始めると、選択肢が広がり、将来への不安も和らぎます。何から始めればよいか迷うときは、まずケアマネジャーや地域包括支援センターに声をかけてみてください。