希望する老人ホームが満室だったときの待機中の過ごし方
入居を考えていた施設に連絡したところ、空きがなく順番待ちを案内された。そんな場面に直面して、気持ちが揺れる家族は多いものです。早めに環境を整えたいと願っていても、評判のよい施設では待つ時間が生じます。
とはいえ、ただ連絡を待つだけの日々にしてしまうと、せっかくの機会を逃すおそれもあります。待っている間の動き方を工夫すれば、本人の暮らしを支えつつ、家族にかかる重みも減らせます。
この記事では、なぜ空きが出にくいのか、どのくらい待つ可能性があるのかを説明したうえで、順番待ちの期間に取り組める具体策をまとめます。
評判のよい施設ほど空きが出にくい
老人ホームというと、申し込めばすぐに入れるものと思われがちです。けれども現実には、満室で順番を待つ方が並んでいる施設も珍しくありません。通いやすい立地、料金と内容の釣り合い、看護職員が常にいる安心感、認知症の方への対応経験といった点が高く評価される所では、一部屋空いてもすぐ次の方が決まり、待ち時間が延びがちです。
そうした所は、いったん入居した方が長く暮らし続けるため、部屋が空く頻度そのものが高くありません。つまり、満室という状況は、それだけ選ばれている証でもあります。
順番待ちの長さはどのくらいか
待つ長さは、施設のタイプや地域で大きく変わります。介護付きや住宅型の有料老人ホームなら数週間から数か月ほど、サービス付き高齢者向け住宅であれば短く済むこともあります。一方、特別養護老人ホームでは数か月から数年に及ぶ場合があります。
ただし、これは大まかな見通しにすぎません。退去や住み替えで突然部屋が空くこともあれば、思った以上に長引くこともあります。ですから、第一希望だけに頼らず、別の候補も同時に用意しておくと安心です。
待つ間に取り組めること
空室を待つ時間は、何もできない期間ではありません。ここでの動き方しだいで、入居後の暮らしがぐっと安定します。
ほかの施設も見て回る
待っている施設以外にも足を運んでみると、本人の希望により近い場が見つかることがあります。職員の接し方、館内の空気、食事の中身、医療や介護の態勢、家族が会いに行きやすいか、外へ出かけやすいかといった点は、現地に行かなければつかみにくいものです。
通所や短期入所で負担を分ける
入居までに時間がかかりそうなら、デイサービス、訪問介護、ショートステイなどを組み合わせる方法があります。本人の生活の流れを保てますし、家族が休める時間も確保しやすくなります。自宅での介護が続いている家庭では、とくに取り入れたい方法です。
ケアマネジャーへこまめに様子を伝える
待つ間にも、本人の体調や暮らしぶりは少しずつ動いていきます。転んだ、骨を折った、物忘れが進んだ、入退院が重なった、医療的な処置が要るようになったなど、変化があればすぐに担当のケアマネジャーに知らせましょう。状態によって、紹介してもらえる施設が違ってくることもあります。
空き状況を定期的にたずねる
退去、住み替え、入院などがきっかけで、予想外のタイミングで部屋が空くことがあります。申し込みをして終わりにせず、近況を伝えがてら、施設へ折に触れて問い合わせておくと良いでしょう。
入居の準備を前倒ししておく
部屋が空いたとき、返事を急ぐよう求められる場合もあります。介護保険証、健康保険証、お薬手帳、主治医からの診療情報の書類、普段の衣類や身の回りの品などを、あらかじめそろえておけば、突然の連絡にも落ち着いて応じられます。
施設選びをもう一度考えるチャンスにもなる
順番を待つ時間は、選び方を見直すのにも向いています。認知症が進んでも暮らし続けられるか、最期まで見てもらえるか、医療処置が必要になったときの受け入れはどうか、追加で払う費用はあるか、緊急時の連絡の流れはどうなっているか。これらを事前に確かめておけば、入ってしばらくしてから別の場所へ移らざるを得ない、という事態を避けやすくなります。
よくある疑問
複数の施設に同時に申し込んでよいのか、と迷う方がいます。実際には、いくつかに申し込んで比べている家庭はたくさんあります。また、空きが出た際にいつまでに入居を決めるかは施設しだいで、数日以内の返事を求められるケースもあります。家族の間で、先に考えをまとめておくと慌てずに済みます。順番待ちの間に要介護度や体調が変わったときは、速やかに施設やケアマネジャーへ伝え、今の状態に合う進め方を相談してください。
まとめ
希望先が満室でも、焦りすぎる必要はありません。待つ期間をうまく使えば、本人に合う場所をじっくり比べられますし、介護サービスを使いながら安心して日々を送ることもできます。候補を広げておけば、思ったより早く行き先が決まる場合もあります。待つしかないと諦めずに、今できる準備から一つずつ進めていきましょう。