老人ホームに入居するまでの流れを順番に解説
親のために老人ホームを探すことになったものの、何から手を付ければよいのか分からない。そんなふうに立ち止まってしまう方は多いものです。
手続きは一見ややこしく見えますが、順番に一つずつ進めていけば、決して難しいものではありません。全体の流れを先に知っておくだけで、焦りが和らぎ、ご本人も交えて落ち着いて比べることができます。
ここでは、最初の相談から新生活の始まりまでを九つの段階に分けて、それぞれで何をするかをご紹介します。
入居までの大まかな道のり
- 相談する
- 希望を整理する
- 資料を取り寄せる
- 見学する
- 体験入居をする(実施している施設のみ)
- 入居を申し込む
- 面談と入居の判定を受ける
- 契約と書類の提出
- 引っ越しと新生活の開始
かかる期間は施設の状況によって変わりますが、数週間ほどが一つの目安です。退院の時期が迫っているなど急ぐ事情があれば、もっと短く進むこともありますし、空きが出るまで待つ場合もあります。
第一段階 まずは身近な窓口へ相談する
入居を決めていなくても、相談はできます。「この介護度で入れるのか」「認知症があっても大丈夫か」「予算内で探せるのか」といった漠然とした疑問で構いません。
相談先としては、担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口が身近です。伝える内容が具体的なほど、状況に合った情報を得やすくなります。
- 年齢
- 要介護認定の有無と介護度
- 認知症の有無
- 持病や必要な医療処置
- 希望する地域
- 毎月の予算
- 入居したい時期
第二段階 優先したいことを家族で決める
すべての希望を満たす施設は、なかなか見つかりません。そこで、「これだけは譲れない」ことと「できれば叶えたい」ことを分けておくと、迷いが減ります。
- 予算(月々の費用と一時金)
- 場所
- 夜間も含めた介護や看護の体制
- 認知症への対応
- リハビリの内容
- 医療処置への対応
- 面会のしやすさ
- 食事や日中の活動
決めるのは家族だけではありません。ご本人の気持ちもできる限り取り入れることが、入居後の納得感につながります。
第三段階 資料を集めて見比べる
条件がまとまってきたら、気になる施設の資料を取り寄せます。写真のほか、料金、サービス内容、医療や介護の体制などが載っています。
ただし、紙面からは雰囲気や職員の対応までは読み取れません。資料はあくまで見学へ進むための第一歩と捉えましょう。複数の施設を表にまとめると、違いが見えやすくなります。
第四段階 実際に足を運んで見学する
見学では、資料では分からない空気感を確かめられます。可能であればご本人も一緒に訪れると、暮らしぶりを思い描きやすくなります。
- 職員の挨拶や言葉づかい
- 館内の清潔さ
- 入居者の表情や雰囲気
- 食事の内容と食堂の様子
- リハビリや活動の様子
- 居室の日当たりや広さ
- におい、騒がしさ
後悔を避けるためにも、一か所だけで決めず、複数の施設を見て比べることをおすすめします。
第五段階 体験入居で暮らしを試す
施設によっては、短期間の宿泊を伴う体験入居ができます。食事が口に合うか、夜の過ごしやすさ、職員に声をかけやすいか、生活の流れが合うかなどを確かめられます。入居に不安を抱くご本人にとって、安心材料になることもあります。実施していない施設もあるため、事前に確認してください。
第六段階から第八段階 申し込み、面談、契約
申し込み
入居したい施設が決まったら申し込みをします。申し込みの時点で、すぐに契約が成立するわけではありません。この後に健康状態の確認や面談を経て、正式な契約に進むのが通例です。必要な書類は施設によって異なりますが、次のようなものが求められることがあります。
- 介護保険の被保険者証
- 健康保険証
- 主治医からの診療情報の書類
- 服用中の薬の情報
- 健康診断書(施設による)
- ご本人とご家族の身分を示すもの
面談と判定
面談は、合否を決める試験のようなものではありません。施設が安心して受け入れられるかを確かめつつ、ご本人の生活歴や困りごと、家族の希望を共有する場です。健康状態、介護が必要な場面、服薬、食事や排泄、入浴の状況などを正確に伝えましょう。
契約と準備
契約書や重要事項説明書には、費用、サービス、退去の条件などが書かれています。分からない箇所は遠慮なく質問し、納得してから署名してください。あわせて、持ち物の準備も進めます。
- 普段着や下着
- 室内履き
- 洗面用具
- 常備薬
- 眼鏡、補聴器、入れ歯など
- 使い慣れた日用品
- 写真や愛用品
見慣れたものを身近に置くと、新しい環境になじみやすくなります。
第九段階 新しい暮らしの始まり
入居当日は、生活についての説明を受けて新生活がスタートします。最初のうちは緊張する方もいますが、慣れるまで見守ってもらえる施設が多いようです。ご家族も折を見て顔を出し、様子を気にかけてあげてください。老人ホームは生活の場です。施設と家族が協力して支えていく気持ちが大切です。
まとめ 焦らず一歩ずつ、納得できる住まいを
入居までにはいくつかの段階がありますが、順番に進めれば難しくはありません。大切なのは、急いで決めず、複数の施設を比べ、ご本人とご家族が納得できる場所を選ぶことです。早めに情報を集め始めると、選択肢が広がり、将来への不安も和らぎます。何から始めればよいか迷うときは、まずケアマネジャーや地域包括支援センターに声をかけてみてください。